日本軍の銃

本当はRefさんのコメントに対するものなのですが、あまりに長くなってしまったのでコメントではなく普通の投稿にしました。
(追記・色々と記事を修正)

日本軍の武装は困ったことに、日露戦争のころからほとんど変わってないんです。そのまま太平洋戦争に突入してしまった。
ヒストリーチャンネルの「撃つためのデザイン 日本軍の銃」という番組を観たのですが、それによると日本軍兵士の最大の武器は「闘魂」だそうで、不屈の闘志があればどんな軍隊にも勝てると思い込み、銃はとくに改良されることがありませんでした。
加えて日本での銃の生産はしばらくの間は銃鍛冶が行っており(訂正・量産体制はあったものの機械の工作精度が低かったために調整を熟練工に頼らざるをえなかった)、たまにストを起こしてわざと寸法を変えたりして軍部を困らせたそうです。
後になってしっかりと生産するようになったそうですが、それもアメリカの大企業による安定した生産体制と比べるまでもなく弱い体制でした。末期には女学生まで投入されてましたしね。

38式歩兵銃は威力こそ小さいものの反動が小さく、命中精度に優れた銃であったそうです。スコープ付のもの(97式狙撃銃)を熟練射手が扱うと相当恐ろしいものとなりました。遮蔽物に身を潜めていた敵兵士が少しだけ指を出たところ、その指を撃ち抜かれた例もあったそうです。
なお銃の状態にもよりますが、97式狙撃銃の命中精度は1MoA以下で、(1MoAは100mで1インチ=2.54cm以内に集弾することを指す)現代の下手な狙撃銃よりも当たります。
また、米ではときおり日本軍銃器の愛好家たちによる射撃大会が催されるのですが、あまりに命中精度が高いため38式歩兵銃の使用は禁止され、99式歩兵銃オンリーになるとか。
その理由としては99式歩兵銃のほうが38式に比べて反動が強く、当てることが難しいため大会としてはそちらのほうが盛り上がるそうです。
マレー半島攻略作戦のときには銃身の長さも問題なかったものの、ジャングル戦となるとその長さがアダとなり、苦戦を強いられることとなります。またサブマシンガンが本格的に採用されていないのも苦戦の一因でした。

そのほか、日本軍の銃は同じ口径でもリムレス、セミリム、リムカートリッジと3つに分かれてました。また弾薬の口径も多種多様であったため補給担当は相当困ったことでしょう。口径が多種多様でも運用できたのはアメリカ軍ぐらいで、他の軍隊は基本的に少ない種類で、用途の重なる銃には同一口径を使用しています。

なお日本軍の中でもまっとうな兵器としては、中国戦線で中国軍が使用したチェコ製ZB26をコピーした96式軽機関銃および99式軽機関銃、それにアメリカ兵が「最も恐ろしい武器」といった89式擲弾筒があります。
軽機関銃について、基本的に日本軍は銃のチェンバーやヘッドスペースを作動可能な寸法のギリギリで設計するため、異常に命中精度が高かったようで、米軍が軽機関銃を接収しテストしたところその結果に驚いたとか。
またおかしな話ですが上記の軽機関銃には96式照準眼鏡という2.5倍のスコープがつけられ、簡易狙撃銃のような威力を発揮したそうです。
89式擲弾筒は銃ではなく迫撃砲に近いものですが、大した照準器もないのにバシバシ当たる不思議な兵器です。本来は地面に設置して撃つものですが、接収した米軍兵士の間で「膝撃ち迫撃砲」という誤った認識が広まったため、膝に乗せて射撃し、骨折する兵士が居たとか。(ちなみにこの話には諸説があり、軍事教官が「膝に乗せて撃つと骨を折るぞ」と言った言葉が元になっているという説もあります)
なお89式擲弾筒はアメリカ軍に多大なる影響を与え、後にM79、M203といった一連のグレネードランチャーの元となりました。

ノモンハン事件のときに日本軍は精神論ではなく武器近代化の必要性を学んだはずなのですが、それが教訓として太平洋戦争に生かされなかったのはあまりに酷い。
そんな劣悪な装備で戦わされた方々のことを思うとつらいです。私としては戦争をしたこと自体より、ロクな装備も与えられずに戦わされたことの方が悲しく思えます。
なお注意しなければならないのは、武器の優劣の差はあくまで戦争結果の一因であり、これで趨勢が決まるわけではありません。ですが近代化が遅れれば各地での戦闘、果ては戦局に響くのです。

なお余談ですが、私の祖父は終戦の前年くらいに徴兵され、飛来するB-29を撃ち落すための本土の高射砲部隊に所属していました。
日本の高射砲ではB-29の飛行高度への射程が足りず、砲弾が炸裂しても破片が機体に届かず、そのまま発射した地上部隊に降り注いできた。
そのため高射砲の射撃目標はB-29ではなく、投下される爆弾に対して発射されていました。それでも空襲は抑えきれなかったのですが…。

もうひとつ余談。
私の祖父は徹底した反戦主義者であり、しかも同世代の人と比べても背が高く(私よりも高い)、目をつけられやすかったのかよく上官に殴られていたそうです。
終戦直後、殴られていたのよほど腹立たしかったのか、サーベルを持って元上官を追い回したそうです。
元上官を追い詰めたところ命乞いをしはじめたので結局斬るのを止めたそうですが……って冷静に考えると恐ろしい話ですな。(゜Д゜;)
[PR]
by CompoundBow | 2005-11-15 11:21 |


※当Blogの投稿記事はあなたの精神健康を脅かす恐れがあります。 ※投稿した記事は日本語として言葉として意味を成さないBow言で書かれております。


by CompoundBow

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

カテゴリ

日常の雑感
小耳に挟んだニュース
オーディオ - 機器
オーディオ - 雑感など
仕事
漫画・小説・アニメ・映画など
ゲーム
PC
音楽
大学

運営
最初にお読みください

リンク先

Rota
RotaさんのBlog。日々是勉学。

jzlabo
リアル友人のBlog。気がついたらニュースサイト形式に変わっていたという…。気遣いがなってないというか、本当に私の対人関係はいい加減である。

ClearNoise World
オーディオを趣味とされているCNさんのBlogです。所有されてる機器のラインナップはかなりのもの。

その他、チェックサイト。
◇ゲーム◇
4Gamer.net

XASIS GAME

MYCOMジャーナル
[PC]-Impress Watch
[AV]-Impress Watch
web Newtype
ファイルウェブ
ロイター通信WEB

EDN Japan

Penguin Webcam
南極のペンギンをWEBカメラで撮影中。

最新のトラックバック

ここは酷いクラカトアですね
from 障害報告@webry
オーディオはどこからオカ..
from babypowder.jp
定価30万円のパワーアン..
from Hinemosu
事故られた!
from 立ち読み気分で気軽に読書:り..
怒涛の三連荘。今日のRo..
from Rota
育【人型二足歩行ロボット..
from いいMONOガイド
Bow殿宛私信
from Rota
NOIR
from ジャパニアニメ

ライフログ

オススメ品
彼らは来た―ノルマンディー上陸作戦

ファルージャ 栄光なき死闘―アメリカ軍兵士たちの20カ月

続ラスト・オブ・カンプフグルッペ

ラスト・オブ・カンプフグルッペ

ナチス狩り

パンツァータクティク―WW2ドイツ軍戦車部隊戦術マニュアル

SAS戦闘員―最強の対テロ・特殊部隊の極秘記録〈下〉

D‐DAY史上最大の作戦の記録

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解

補給戦―何が勝敗を決定するのか

SAS・特殊部隊 知的戦闘マニュアル―勝つためのメンタルトレーニング

戦争の科学―古代投石器からハイテク・軍事革命にいたる兵器と戦争の歴史

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧