Assault Weapon Ban (AWB) 時限法(既に失効)

(記事一部修正済み)

Assault Weapon Ban(以下、AWB)はご存知だろうか。
AWB反対派のサイトにAWBの内容を載せている。

AWBの内容をかいつまんで出すと、こうなる。

一つ、10発を超える装弾数を持つ銃を新しく製造・販売してはいけない。
一つ、グリップの前にある弾倉があるものはアサルトウェポンとする。
一つ、ピストルグリップを持つライフルはアサルトウェポンとする。
一つ、ねじ込みで外れるフラッシュハイダーを装備するものはアサルトウェポンとする。
一つ、上記に該当する海外製ライフルを輸入禁止とする。
一つ、当法律は不遡及とし、施行前に製造された物は不問とする。
一つ、アサルトウェポンの所持者が死亡した場合、親族が相続することは不可能。合衆国が回収・保管する。(100年も経つ頃には誰もアサルトウェポンを持たない“銃規制派の理想郷”ができ上がると月刊GUNのライターが皮肉っていた)

この法律、そもそも何がしたいのかよく解らない。
上記のサイトのこちらのページを見ていただけば解るが、Assault weaponの対象としたいのであろう"Semiautomatic Assault Rifle","Millitary style weapon"は、フロリダでは定義された中でも全体の3%、1992年のバージニア州では全1,171の銃のうち3.3%のみAssault weaponと定義された。ニューヨーク市では2,394の殺人のうちわずか20件、ニューヨーク州では全12,138の銃犯罪のうち80件のケースでしか用いられてない。
多くの銃犯罪は「サタデーナイトスペシャル」といわれる、ATF(アルコール・タバコ・ファイヤーアームズ。合衆国で販売される銃はここの規格をクリアしなければならない)がまず認可しないような粗悪で廉価な銃が使われることが多い。
それらは禁止されている代物なのだからまずそちらをどうにかすべきであって、そもそも所持、関係した事件の絶対数が少ない"Assault weapon"を規制したところで本当に銃犯罪抑制につながるのか?
この具体性を欠いた規制は単に個人の嗜好品所有を害するものでしかないのだ。

この法律で規制された馬鹿馬鹿しい事例としてはマゥザー社(独・モーゼル社)のM712拳銃がマガジンがグリップの前にあるためアサルトウェポ、ンと定義され、所持禁止となった。帝政ドイツやナチスドイツ初期にSSなどが装備したこの拳銃はアサルトウェポンどころか棚に飾る骨董品に該当するのだが……。貴重なコレクションを没収された所持者の心情はいかがなものであったのだろうか。


装弾数を10発以下に抑えて何になるのだろうか。犯人はマガジンチェンジに忙しくなり、撃つ時間が少なくなるとでもいいたいのであろうか。ちなみにこの法律で弾数が規制される一方、同じ10発でもより威力の高い銃~銃規制派に言わせればより非人道的な銃~が好まれるようになった。これを気に全米で.45口径、コルト社のライセンス失効もあり、とくにM1911A1(コルト・ガバメントと言われる銃)スタイルの銃が瞬く間に復活、市場はガバメントのコピーで溢れかえってしまった。近年のガバメントブームにはこういった背景も存在しているのだ。

それに、マガジン規制はあるものの自国製ライフルは普通に売られているのだ。
検索途中でヒットしたこちら、アメリカン・カルチャーを知る英語講座 21
から、クリントンの1998年の記者会見を引用させてもらうが
「誰もが知っている通り、鹿狩りに行くのにUziは必要ありません。スキーチ射撃にAK-47は要りません。これらは軍事用の武器、戦争のための兵器なのですから」
米軍の採用しているM16などのアーマライト系ライフルが戦争用ではないとは初耳だ。
AK47などは昔から「テロリストの銃」と槍玉に挙げられ続けたため海外製ライフルは禁止となったようだが、自国製ライフルにはお咎め無し。(ひょっとしたらNRAなどの圧力があったのかもしれないが)
ネヴァダ州など一部を除いてフルオート可能なライフル・マシンガンは所持を禁止されている。
同法律でフルオート可能なAK、UZIを規制したいのなら、そもそも持てないのだから案ずる必要はない。入ってきたものはまず違法な品である。セミオートライフルでも駄目だというのなら、M16がよくてAKが駄目である説明がつかない。アメリカではAKよりM16の方がよほど流通しているのだ。


またこの法律は銃の売り上げに大きく貢献した、と言われている。
特に規制前に製造されたPRE-BAN品は高値で取引され、店側も売れないものを残しておく気はなくバーゲンを展開、AWBで多弾数マガジンと定義されたものを筆頭に、どの店も在庫はほぼ全てを売り尽くしたようだ。

その他、法律の穴をくぐるような事例もたくさん報告された。
例えば、M1911系のハイキャップ(多弾数)ハンドガンを製造するパラ・オーディナンス社(FBIの特殊部隊に納入されるカスタムガンの原型を製造)は、同規制の施行までに連日徹夜で多弾数マガジンを製造し続け、膨大なマガジンをストックした。
法律施行後、同社の銃を購入したものは銃に付属のクーポンを送ることによって、10発を超えるマガジンを手に入れることができた。これらは販売に当たらないため、法律で規制することができない。この妙案によってパラオーディナンス社は相当儲けたものだろう。
また海外製ライフルは輸入禁止とのことだが、そんなことはない。ピストルグリップのある“アサルトウェポン”が駄目というだけで、猟銃ライフルのようなストック=グリップ一体型の銃は問題なく入ってきた。それらは国内で販売されているストック&グリップ換装パーツをつけることによって、従来のライフルの形状を取り戻した。これによって処罰されることはない。ライフル購入者は無用な出費を強いられただけなのである。

銃を規制するつもりが、これの結果である。結局は銃規制派の絶対容認できないような問題ばかり引き起こした。



そもそも銃のひとつとっても具体的な違いすら解っていない連中である。規制すれば何でもいいと勘違いしている。
以下は余談である。カリフォルニアのことだったと思うが、銃規制団体が「50口径はヘリすら落ち落とせる」「50口径は悪魔の銃だ」と主張し、全ての50口径の規制を求めた。
確かに、アンチマテリアルライフル(対物ライフル……国際条約で“非人道的”だからと対人使用を禁止された大口径ライフル)はヘリを撃ち落とす事も可能かもしれない。ただ50口径といっても一概にはいえず、有名なデザートイーグルなどのハンドガンにも50口径はある。
本気でヘリをハンドガンで撃ち落せると信じているなら失笑物である。
アメリカの老舗、S&W社から“世界最強”を謳うハンドガン、M500がでたときも、銃反対派は非常に危険な銃が出たと大騒ぎした。しかし一体そのハンドガンはどういうもので、何に使われるか知っているものは少ないではないのだろうか。
あまりに強烈な反動で一発撃つことすら辛い銃で、購入者のほとんどがコレクターと言われている。購入して一発も撃ってない者も多いらしい。それを人殺しに使うというのなら、逆に凄い心意気ではある。とにかく、“ギネス入り銃”を目指しためのか、“本当の意味での実用”からは程遠い代物である。


銃所持反対派はAWBに一体何を期待していたのだろう。結局この法律があってもロサンゼルスでの違法に持ち込まれたAK小銃乱射事件や、コロンバイン高校での乱射事件は防げなかった。
銃犯罪を抑えるにしてあまりに対象不的確な法律である。銃を購入する側としては出費が嵩む・欲しかった銃が手に入れられなくなるなど踏んだり蹴ったりだったようだ。

現在、AWBは失効しており、規制されていた多弾数マガジンやライフルは普通に購入できるようだ。効果もあまりに不透明であったためか今のところ再施行する予定はない。結局は禁酒法のような悪法だったのだろう。




(以下、余談。米国内では銃は諸問題の元だが、映画「ボーリングフォーコロンバイン」より、国民の3分の1が銃を所持しているカナダでの発砲事件は極少数である。アメリカは何か根本から違っているようだ。
あの映画は、合衆国の人々には何らかの恐怖の病理があり、そんな連中に銃を持たせるのは危険だ、ということが趣旨であった。銃反対映画として知られているが、銃が絶対悪である、とは一切述べてられてない。
私が同映画について不思議に思うのは、マイケル・ムーアはそう主張しておきながらコロンバインでの被害者と共にウォルマートに対し銃弾販売の撤退を求めた理由が解らない。被害者のことを思えば感情的にはよく理解できる、だがしかし主張と行動に辻褄が合わない。単に銃反対を訴えたかったのだろうか?)
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by CompoundBow | 2005-08-27 06:56 |


※当Blogの投稿記事はあなたの精神健康を脅かす恐れがあります。 ※投稿した記事は日本語として言葉として意味を成さないBow言で書かれております。


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